アート情報
「江戸の戯画 鳥羽絵から北斎・国芳・暁斎まで」
於:大阪市立美術館
期間:2018年4月17日~6月10日
戯画って何?という質問への応えは、「昔の漫画です」と言うのが一番簡単かもしれません。もう少し詳しく言うと、滑稽で面白く簡略化した筆跡で描かれた作品です。
しかし戯画の定義は難しく、土産物して販売されていた大津絵や、狩野派を学んだ絵師によって描かれた作品もあり、最近展覧会が開催され注目が集まっている春画も戯画のひとつです。
アニメやキャラクター造形で活躍している「現代の絵師」と呼ばれる人たちが、高レベルのテクニックを駆使して制作するように、戯画もたかが漫画と侮ることはできません。展覧会のサブタイトルにもある北斎の「北斎漫画」に描かれた人体は、ミケランジェロやダ・ヴィンチ以上に骨格や関節の把握が正確で、身体の動きを細かく描写しています。
また、「鳥獣人物戯画」で有名な歌川国芳の「人をばかにした人だ」はマニエリスムの画家アルチンボルトの肖像画に通じます。「金魚づくし」の擬人化した金魚は、今アニメ化しても十分すぎる可愛さではないでしょうか。
更に河鍋暁斎の「応需暁斎楽画」化々学校の中の人光景は、正に人間の小学校の授業風景です。下絵もそのまま屏風画や掛け軸にしても良いんじゃないかと思うほどの完成度です。
クールジャパンと言われるほど、日本のアニメや漫画は世界中を魅了しています。その萌芽は既に江戸時代からあったのです。
小作品が多く、平面ケースでの展示が多いので、来場者の流れが滞ってしまっているのが残念でした。鑑賞は平日の開館~11時がおススメです。
日本人は何故か展示順で鑑賞したがりますが、展覧会の作品は好きなものや空いているものから自由に観てください。自分と波長の合う作品は不思議と引き合うものです。他人は軽く見過ごす作品が自分にとって意味ある作品である可能性があるかもしれません。
(画像は展示図録から引用)